結論:Recraft単体での補助金申請は難しい場合が多い
まず押さえておきたいポイント
ベクター画像やデザイン素材の生成に強いAIツールRecraft(リクラフト)を「これ単体で補助金を使って導入したい」というご相談は増えていますが、現実には単体での申請は難しいケースが多いのが正直なところです。理由はツールの性能ではなく、補助金制度側の仕組みにあります。
「デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)」は、原則として事務局に登録されたITツールを登録IT導入支援事業者を通じて導入することが前提になっています。Recraftは海外発のサービスであり、月額のサブスクリプションで利用する性質も含めて、登録ITツールとして単独で位置づけて申請するのは難しい場面が多くなります。
ただし、これは「Recraftを使う取り組みに補助金がまったく使えない」という意味ではありません。申請の切り口を「ツールから入る」のではなく「解決したい課題から入る」に変えると、補助金を活用できる道が見えてきます。本記事では、難しい理由を制度の構造から整理したうえで、ベクター・デザイン生成という用途を活かして補助金を狙える具体的なルートと、申請時の実務上の注意点を解説します。なお制度は年度ごとに見直されるため、最終的には必ず最新の公募要領をご確認ください。
なぜRecraft単体だと申請が難しいのか
「デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)」がRecraft単体で通りにくいのは、制度が次の二つの前提で設計されているためです。
前提1:事務局に登録されたITツールであること。補助対象となるソフトウェアやサービスは、あらかじめ事務局の審査を受けて登録されている必要があります。汎用的な画像・デザイン生成ツールが登録対象に含まれていない場合、その利用料だけを切り出して申請することはできません。
前提2:登録IT導入支援事業者を通じて導入すること。申請は支援事業者と中小企業が共同で行う仕組みです。海外のサービスを自分で契約しただけでは申請ルートに乗らないのが基本となります。
Recraftはテキスト指示からロゴ・アイコン・イラストなどのベクター画像やデザイン素材を生成できる海外発のAIツールで、汎用性が高い一方、補助金の枠組みから見ると「登録ITツールとして単独で位置づけにくい」「サブスクリプション利用そのものが補助対象になりにくい」という壁にぶつかりやすくなります。下の表で典型例を整理します。
| 観点 | 通りやすいケース | 難しいケース |
|---|---|---|
| 導入の形 | 登録済みの業務システムや支援事業者のサービスにデザイン生成機能が組み込まれている | Recraftの月額契約だけを補助対象にしたい |
| 申請ルート | 登録IT導入支援事業者と共同で申請する | 支援事業者を介さず登録外の海外ツールを単独で導入する |
| 業務との結びつき | 制作工程の効率化や受注プロセス改善など、効果を数値で示せる | 「便利だから」という汎用利用で効果を数値化できない |
| 位置づけ | 新サービス開発・試作の制作工程の一部として説明できる | 個人の作業ツールとしての単発利用にとどまる |
登録ITツールや対象経費の範囲は公募回・年度によって変わります。ここでの整理は一般的な考え方であり、実際の可否は必ずその時点の最新の公募要領と事務局の案内でご確認ください。
Recraftで補助金活用を狙える3つのルート
Recraftそのものを補助対象にするのが難しくても、ベクター・デザイン生成という用途を業務の中に位置づけ直すことで、補助金を活用できる可能性が出てきます。代表的なのが次の3つのルートです。
- ルート1:登録済みの業務システムとセットで申請する。受発注管理、案件管理、ECの商品ページ運用など、事務局に登録された業務システムを導入する際、その制作・販促工程の一部としてデザイン生成を活用する構成にすると、システム全体の導入費用が補助の検討対象になり得ます。主役はあくまで登録済みのシステムで、Recraftは業務効率化の全体像の中に位置づけます。
- ルート2:AI機能を内包した登録IT導入支援事業者のサービスを利用する。デザイン生成や素材作成を含むAI機能を組み込んだ制作支援ツール・マーケティングツールを、登録IT導入支援事業者経由で導入する方法です。支援事業者がサポートする登録サービスとして申請できる点が利点です。どのサービスが登録されているかは事業者ごとに異なるため確認が必要です。
- ルート3:別制度を検討する。ベクター画像やデザインを新しいサービス・試作開発に活かすなら、ものづくり補助金(革新的サービス・試作開発)が相性の良い候補になり得ます。たとえば独自のデザイン素材やブランディングを核とした新サービス開発、試作品のビジュアル制作工程などです。そのほか事業再構築補助金や中小企業省力化投資補助金など、取り組みの内容に応じて別制度を視野に入れる価値があります。
ツール起点でなく課題起点で考える
「Recraftを補助金で導入したい」から出発すると行き詰まりやすい一方、「デザイン制作の外注費を下げたい」「ブランディングを核にした新サービスを立ち上げたい」といった課題から逆算すると、合致する制度や登録ツールが見つかりやすくなります。とくにベクター素材やデザインを軸にした新サービス・試作開発は、ものづくり補助金の革新的サービス枠と相性が良い領域です。