CRM・顧客管理ツールはデジタル化・AI導入補助金で導入できる?

結論から言えば、CRM・顧客管理ツールはデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の対象となります。経済産業省が所管するこの補助金制度は2026年現在「デジタル化・AI導入補助金」として運用されており、顧客管理(CRM)・営業支援(SFA)・マーケティングオートメーション(MA)など幅広い業務系クラウドサービスが補助対象です。

顧客管理ツールの導入を検討している中小企業・個人事業主にとって、この補助金を活用することで導入コストを大幅に削減できます。補助率は1/2〜2/3(小規模事業者は最大3/4)、補助上限は最大350万円(通常枠)です。補助金・助成金を組み合わせて活用することで、実質負担をさらに圧縮することも可能です。

CRM補助金・助成金活用の3大ポイント

1. 複数ツールを組み合わせて申請可能:CRMと名刺管理(Sansan等)を同一申請でまとめて補助対象とすることで補助額を最大化できる
2. AI機能搭載CRMは加点評価:Salesforce EinsteinなどのAI機能を活用するCRMはデジタル化・AI導入補助金の「AI枠」で加点対象となり採択率が向上する
3. IT導入支援事業者選びが採択率を左右:CRM各社のパートナーまたは補助金専門コンサルタントを通じて申請することで、事業計画書の質が大幅に向上する

本記事では主要なCRM・顧客管理ツール6製品(kintone・Salesforce・HubSpot・Sansan・Zoho CRM・SATORI)を補助金申請の視点で徹底比較します。補助額シミュレーション・注意点・補助金視点での選び方まで、CRM選定に必要な情報を網羅しています。

デジタル化・AI導入補助金の制度全体については【2026年版】デジタル化・AI導入補助金 完全ガイドも合わせてご覧ください。

CRM・顧客管理ツールが該当する補助対象カテゴリ

デジタル化・AI導入補助金では補助対象ITツールをカテゴリ分類しています。CRM・顧客管理ツールは主に以下のカテゴリに分類されます。また、デジタル化・AI導入補助金とは別に、中小企業の従業員研修に使える「人材開発支援助成金」と組み合わせることで顧客管理システムの定着支援コスト(研修費)を助成金でカバーする事例もあります。

カテゴリ該当ツール例補助率(中小企業)補助上限
顧客対応・販売支援(CRM・SFA)kintone、Salesforce、HubSpot、Zoho CRM1/2350万円
名刺管理・顧客情報管理Sansan、Eight1/2〜2/3350万円
マーケティングオートメーション(MA)SATORI、HubSpot有料版1/2350万円
AI機能搭載ツール(AI枠)Salesforce Einstein、AI搭載CRM全般1/2〜2/3(加点)350万円

CRMは「汎用プロセス」分類に注意

CRM・顧客管理ツールは補助金申請において「汎用プロセス」(業種・業務に関わらず広く使われるツール)に分類される場合があります。汎用プロセス分類のツール単体での申請は審査で評価が低くなる傾向があるため、名刺管理ツール・会計ソフト・業務管理ツールと組み合わせて申請すると採択率が上がります。詳細は後述の注意点セクションで解説します。

2026年版の変更点:AI機能搭載CRMが有利になった背景

2025年度からIT導入補助金は「デジタル化・AI導入補助金」として再設計され、AI機能の活用が審査の重点評価項目となりました。この変更はCRM選定に直接影響します。補助金制度の変化を把握した上で、どのCRM・顧客管理ツールを申請すべきかを戦略的に判断することが重要です。

変更点2025年以前(IT導入補助金)2026年(デジタル化・AI導入補助金)
AI機能の扱い一般SaaSと同等評価AI機能搭載ツールは加点評価(AI枠)
CRM申請の優位性ツールの機能・コストで評価AI予測・自動化機能の有無が採択率に影響
申請戦略単体ツール申請でも採択されやすかった複数ツール組み合わせ・AI機能活用が有利
補助上限最大450万円(通常枠)最大350万円(通常枠)

AI枠の詳細についてはAI枠(AI機能加点)の詳細解説記事もご参照ください。

主要CRM・顧客管理ツール6製品 補助金申請視点の徹底比較

kintone・Salesforce・HubSpot・Sansan・Zoho CRM・SATORIの6製品を、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の申請という観点から比較します。料金・AI機能・申請サポートの充実度・中小企業への適合性など、補助金活用に直結する項目を中心に整理しました。顧客管理コストを補助金・助成金で削減したい中小企業の参考にしてください。

比較項目 kintone Salesforce HubSpot Sansan Zoho CRM SATORI
月額料金目安 1,650円/人〜 3,000円/人〜 0円〜(有料1,800円/人〜) 10,000円/社〜(要問合) 1,680円/人〜 148,000円/社〜
IT導入支援事業者 ◎(サイボウズ・認定パートナー多数) ○(パートナー経由) ○(パートナー経由) ○(Sansan経由) △(パートナー限定) ○(SATORI直接・パートナー)
補助金申請実績 多数(国内最多クラス) 多数 増加中 多数(名刺管理枠) 少なめ 中程度
AI機能 プラグイン連携(ChatGPT・AI-OCR) Einstein AI(標準搭載・高精度) AI搭載(ChatSpot・コンテンツ生成) AI名刺認識・企業情報自動取得 Zia AI(標準搭載) AIスコアリング・行動分析
AI枠加点 ○(AI連携構成で申請) ◎(Einstein AI搭載で強くアピール可) ○(AI機能を明示して申請) ○(AI認識機能を記載) ○(Zia AIを記載) ◎(AIスコアリングが核心機能)
主な用途 全業務・ノーコード業務アプリ CRM・SFA・MA統合プラットフォーム マーケティング統合型CRM 名刺管理・法人DB連携 CRM・SFA・営業管理 MAツール(リード育成特化)
中小企業への適合性 ◎(5名〜・低コスト・ノーコード) △(コスト高・専門知識必要) ○(無料から始められる) ○(名刺枚数に応じて選択) ○(低コスト・機能豊富) △(BtoB中堅企業向け高額)
無料プラン なし(30日トライアルのみ) なし(トライアルのみ) あり(ただし補助対象外) なし なし(15日トライアル) なし
名刺管理との連携 ○(Sansanプラグイン連携) ◎(Sansan for Salesforce) ○(API連携) ◎(名刺管理がコア機能) ○(API連携) ○(フォームデータ連携)
補助金申請の総合評価 ◎(名刺枠)

補助金申請のしやすさランキング(2026年版)

1位: kintone — IT導入支援事業者(サイボウズ)登録済み、補助金申請実績最多、ノーコードでAI連携可能
2位: Sansan — 名刺管理枠で安定した採択実績、AI名刺認識機能が加点要素として明確
3位: Salesforce — Einstein AIで強力な加点アピール、ただし高コストで自己負担が大きい
4位: HubSpot — 無料プランは補助対象外、有料Starter以上で申請。マーケティング統合型として申請しやすい
5位: SATORI — MAツール特化で事業計画書の説得力あり、高額ゆえ補助額も大きい
6位: Zoho CRM — コスパは最強だが申請サポートが手薄、パートナー探しに注意

kintone:ノーコードCRMとして最も補助金申請しやすい

kintone(サイボウズ株式会社)は、ノーコードで顧客管理・案件管理・ワークフローをゼロから設計できる業務改善プラットフォームです。IT導入支援事業者としてサイボウズが直接登録されているため、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)申請のハードルが最も低いCRM・業務管理ツールの一つです。

CRMとして使う場合は顧客情報・商談履歴・対応記録を自社業務に最適化したアプリ設計で管理できます。Salesforceのような固定のCRM画面ではなく、「自社の営業フローに合わせたカスタムCRM」をノーコードで構築できる点が最大の強みです。国内30,000社以上の導入実績を持ち、補助金申請を支援するサイボウズ認定パートナーも全国に多数存在します。

kintoneの補助金活用の詳細についてはkintone補助金完全解説記事も合わせてご覧ください。

kintoneの対象枠と補助率

kintoneはデジタル化・AI導入補助金の複数の申請枠に対応しています。特にインボイス対応アプリの構築や、AI-OCRプラグインを活用したAI機能活用枠での申請が可能です。補助金・助成金を組み合わせれば、kintoneの顧客管理環境を極めて低コストで構築できます。

申請枠補助率補助上限kintoneの適合度
通常枠(デジタル化)1/2(中小企業)350万円
インボイス枠(小規模事業者)3/4350万円◎(インボイス対応アプリ構築で申請)
AI機能活用枠2/3(加点評価)350万円○(AI-OCR・ChatGPT連携で申請)

kintoneは「顧客管理アプリ」の構築費用として申請するほか、AI-OCRプラグインや外部AI連携を組み合わせることでAI機能活用枠での加点も狙えます。スタンダードコース(月1,650円/人・税込)が補助対象の主力プランです。

kintone シミュレーション:スタンダード10名・24ヶ月

kintone スタンダード10名・中小企業の場合

月額料金(10名)

15,400円(1,540円 × 10名・税抜)

補助対象期間

24ヶ月(最大)

補助対象経費の合計

369,600円(15,400円 × 24ヶ月)

補助率(中小企業)

2/3(AI機能活用枠加点想定)

補助金額(概算)

246,400円(369,600円 × 2/3)

自己負担額(2年間)

123,200円月換算 約5,133円

10名でAI機能活用枠を申請した場合、2年間の実質負担は約12.3万円(月5,133円)です。名刺管理(Sansan等)との組み合わせで補助対象経費をさらに増やすことで、補助総額を最大化できます。kintoneはCRM・顧客管理の補助金活用ツールとして最も低コストで最も申請しやすい選択肢です。

Salesforce:世界No.1 CRMのEinstein AIでAI枠を狙う

Salesforce(株式会社セールスフォース・ジャパン)は世界シェアNo.1のCRM・SFA・MAプラットフォームです。顧客管理・商談管理・マーケティングオートメーションを統合的に管理できる機能の網羅性は比較対象6製品の中で最高水準です。

デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の視点では、Einstein AI(商談予測・顧客スコアリング・自動化機能)の搭載がAI枠での加点アピールとして非常に有効です。一方で月額料金が他のCRM・顧客管理ツールより高いため、補助金があっても自己負担額は大きくなります。補助金を活用しても高コストが課題と感じる中小企業は、kintoneやHubSpotを先に検討することを推奨します。

Salesforceの対象枠と補助率

Salesforceはデジタル化・AI導入補助金の通常枠・AI機能活用枠の両方で申請実績があります。Einstein AIを具体的に活用する計画を事業計画書に記載することで、AI枠加点(補助率2/3)を狙えます。

申請枠補助率補助上限Salesforceの適合度
通常枠(デジタル化)1/2(中小企業)350万円
AI機能活用枠2/3(加点評価)350万円◎(Einstein AI標準搭載で強くアピール可)

Salesforceの補助金申請は、Salesforceパートナー企業(認定システムインテグレーター)を通じて行います。Einstein AIを事業計画書で具体的に活用する内容(商談予測で受注率○%向上、顧客スコアリングでアプローチ効率○%改善など)を数値で示すことが採択率向上のカギです。

Salesforce シミュレーション:Starter 10名・24ヶ月

Salesforce Starter 10名・中小企業の場合

月額料金(10名)

30,000円(3,000円 × 10名・税抜)

補助対象期間

24ヶ月(最大)

補助対象経費の合計

720,000円(30,000円 × 24ヶ月)

補助率(中小企業)

1/2(通常枠)

補助金額(概算)

360,000円(720,000円 × 1/2)

自己負担額(2年間)

360,000円月換算 15,000円

Salesforce Starter 10名では2年間の自己負担が36万円(月15,000円)となります。補助金を受けても月15,000円の負担があり、kintoneの約3倍のコストです。Einstein AI枠での採択(補助率2/3)が実現すると自己負担は24万円(月10,000円)まで軽減されます。100名以上の中堅企業でのCRM・SFA本格活用を前提とする場合に向いています。中小企業の営業チームでSalesforceを使う場合は人材開発支援助成金(デジタル人材育成枠)との組み合わせも有効です。

HubSpot:マーケティング統合型CRMで無料プランに注意

HubSpot(HubSpot Japan株式会社)は、CRM・マーケティング・営業・カスタマーサクセスを統合した「Growth Platform」として急速にシェアを拡大しているクラウドサービスです。最大の特徴は無料プラン(HubSpot CRM Free)が存在することですが、この無料プランはデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の補助対象外です。補助金申請の対象となるのはStarter以上の有料プランのみです。

AIコンテンツ生成・ChatSpot(AIアシスタント)・スマートCTAなどのAI機能が有料プランで利用でき、マーケティングオートメーションと組み合わせた申請内容として事業計画書の説得力が高まります。中小企業で「CRM+メールマーケティング+SEO分析」をワンパッケージで導入したい場合に特に向いている顧客管理ツールです。

HubSpotの対象枠と補助率

HubSpotはデジタル化・AI導入補助金の通常枠・AI機能活用枠で申請できます。Starter以上の有料プランが補助対象となります。無料プランから有料プランへの移行タイミングと補助金申請時期の調整が重要です。

申請枠補助率補助上限HubSpotの適合度
通常枠(デジタル化)1/2(中小企業)350万円○(Starter以上で申請)
AI機能活用枠2/3(加点評価)350万円○(ChatSpot・AI機能を明示して申請)

HubSpotの無料プランは補助対象外

HubSpot CRM Freeは無料のため補助金の補助対象経費にはなりません。補助金申請にはStarter(月1,800円/人〜)以上の有料プランへの切り替えが必須です。また、無料プランをすでに利用している場合でも、有料プランへのアップグレードとして新規申請できます。

HubSpot シミュレーション:Starter 5名・24ヶ月

HubSpot Starter 5名・小規模事業者の場合

月額料金(5名)

9,000円(1,800円 × 5名・税抜)

補助対象期間

24ヶ月(最大)

補助対象経費の合計

216,000円(9,000円 × 24ヶ月)

補助率(小規模事業者)

2/3(小規模)

補助金額(概算)

144,000円(216,000円 × 2/3)

自己負担額(2年間)

72,000円月換算 3,000円

5名の小規模事業者がHubSpot Starterを補助金活用で導入した場合、2年間の自己負担はわずか7.2万円(月3,000円)です。CRM+マーケティングメール+ランディングページ作成ツールが一体化した環境を月3,000円で手に入れられる計算で、顧客管理コストのコストパフォーマンスは最高水準です。

Sansan・Zoho CRM・SATORI:残り3ツールの補助金申請ポイント

比較表で取り上げた残りの3製品(Sansan・Zoho CRM・SATORI)についても、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)活用の視点から補助金申請のポイントを解説します。それぞれ特性が大きく異なるため、自社の顧客管理課題に合わせて選択してください。

Sansan:名刺管理No.1のAI認識機能で補助金採択率が高い

Sansan(Sansan株式会社)は法人向け名刺管理ツールとしてNo.1シェアを持ち、AI名刺認識・法人DB自動連携・決裁者マッピングなど顧客情報の整備に特化したサービスです。デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)では名刺管理カテゴリでの申請実績が豊富で、CRM単体申請より採択率が高い傾向があります。

Sansanの特徴として、AIが名刺を自動認識してデジタル化する機能がコア価値のため、「AI活用による業務効率化」という補助金の趣旨との親和性が高い点があります。また、Salesforce・kintone・HubSpotなど主要CRMとのAPI連携が充実しており、名刺管理 + CRMの組み合わせ申請で補助額を最大化できます。

Sansanの補助金申請メリット

月額料金は企業規模・名刺枚数により異なり、目安10,000円/月〜(要見積)。AI名刺認識精度の高さとIT導入補助金への申請実績の多さが強み。名刺管理と顧客管理(CRM)を一体のDXとして申請できるため、汎用プロセス問題を回避しやすい。助成金(人材開発支援助成金)との組み合わせでSansan活用研修費用もカバー可能。

Zoho CRM:コスパ最強の顧客管理ツールだが申請サポートに注意

Zoho CRM(Zoho Japan株式会社)は月額1,680円/人〜という圧倒的なコストパフォーマンスを誇るCRM・顧客管理ツールです。Zia AI(商談予測・異常検知・会話分析)を標準搭載し、Zoho Booksなど40以上のZohoアプリと連携できるエコシステムが強みです。

デジタル化・AI導入補助金の申請については、Zoho CRM単独でのIT導入支援事業者登録パートナーの数が他ツールより少ない点に注意が必要です。補助金申請を前提とする場合は、Zoho CRM対応のIT導入支援事業者(補助金専門コンサルタント・SIer等)を事前に確保してから選定を進めることを推奨します。

Zoho CRMプラン月額(税抜)主要機能補助金申請
スタンダード1,680円/人リード・案件管理、メール連携、レポート
プロフェッショナル2,760円/人SFA・Zia AI・在庫管理◎(AI枠狙い)
エンタープライズ4,560円/人高度なAI分析・多通貨・多言語○(大規模向け)

SATORI:国産MAツール特化で高額だが補助金で導入しやすい

SATORI(SATORI株式会社)は、BtoB企業向けのマーケティングオートメーション(MA)ツールに特化した国産クラウドサービスです。月額148,000円〜と高額ですが、AIスコアリング・匿名顧客の行動追跡・メールマーケティング自動化を一体化した国産MAとして、補助金申請額が大きくなるという特徴があります。

SATORIは中小企業より中堅〜大企業向けのポジショニングですが、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)を活用することで初年度の導入ハードルを大幅に下げることができます。高額ゆえに補助金総額も大きく、IT導入補助金で1年間の補助が受けられれば自己負担を1/2〜1/3に削減できます。事業計画書では「AIスコアリングによるリード育成の自動化で営業担当者の工数を月○時間削減」「休眠顧客への自動フォローアップで顧客管理効率を○%向上」などを具体的に記載することが採択のカギです。

CRM補助金申請の注意点:採択率を下げる落とし穴

CRM・顧客管理ツールのデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)申請にあたっては、他の業務ツールと異なる注意点があります。補助金・助成金を最大限活用するためにも、事前に把握することで採択率を大幅に向上させることができます。

CRMは「汎用プロセス」分類:他ツールとの組み合わせが効果的

デジタル化・AI導入補助金の審査では、申請するITツールが「業種・業務に特化した本質的なDX投資」であるかどうかが評価されます。CRM・顧客管理ツールは業種を問わず幅広く使われる「汎用プロセス」に分類されるため、CRM単体での申請は審査で汎用性が低く評価されるリスクがあります。

採択率を上げる組み合わせ申請のパターン

パターン1: CRM + 名刺管理:Salesforce + Sansan、kintone + Sansanなど。商談機会の発掘(名刺管理)→ 商談管理・受注管理(CRM)という明確な業務フローを示せる
パターン2: CRM + 会計ソフト:HubSpot + freee、Salesforce + マネーフォワードなど。売上計上・請求書発行までの一気通貫DXとして申請しやすい
パターン3: CRM + 業種特化ツール:製造業ならkintone(生産管理アプリ)+ 受注CRM、不動産業なら物件管理アプリ + 顧客管理CRMなど業種固有の業務との組み合わせ

ベンダーや申請支援の選び方についてはIT導入補助金ベンダー選び方ガイドもご覧ください。

名刺管理(Sansan等)との組み合わせで補助金申請が通りやすい

名刺管理ツール(Sansan・Eightなど)は、CRMと組み合わせることで補助金申請の説得力が大幅に向上します。特にSansanは法人向け名刺管理No.1ツールとして補助金申請実績が豊富で、IT導入補助金への対応実績も多数あります。

名刺管理 + CRMの組み合わせは「商談機会の入口から受注・顧客化までのデジタル化」という明確なDXストーリーを描けるため、事業計画書で説得力のある内容が作成できます。補助金申請においてこの組み合わせは審査担当者に理解されやすく、採択率向上に効果的です。さらにSansanはAI名刺認識機能を搭載しているため、AI枠での加点もあわせて狙えます。

組み合わせ補助金申請上のメリット自己負担軽減効果
Sansan + Salesforce名刺→商談→受注の完全CRMストーリー両ツール分の補助を一括申請
Sansan + kintone名刺→ノーコードCRMで業種特化顧客管理低コストで最大補助率を狙える
Eight + HubSpot名刺→メールマーケティング自動化低単価×高補助率で自己負担最小

AI機能搭載CRMはAI枠で加点:事業計画書への記載方法

デジタル化・AI導入補助金の「AI機能活用枠」では、AI機能を搭載したITツールの導入が加点評価されます。CRM・顧客管理ツールのAI機能を事業計画書で適切に記載することが採択率向上の重要なポイントです。

AI機能を事業計画書に記載する際は、「AI機能を使う」だけでなく、「AI機能によって何がどう改善されるか」を定量的に示すことが審査で高く評価されます。

CRMのAI機能事業計画書での記載例(定量的)対象ツール
商談予測(成約確率スコアリング)営業担当者1人あたりの月間提案数を○件→○件に向上、受注率○%改善Salesforce Einstein、Zoho Zia
リードスコアリング(見込み度自動評価)月間問い合わせ○件のうち優先対応リードを自動特定、アプローチ工数○時間削減HubSpot、SATORI
AI名刺認識・企業情報自動取得名刺入力工数を月○時間から0に。企業情報自動付与で情報鮮度○%向上Sansan
AI-OCR連携(kintoneプラグイン)注文書・見積書のデータ入力工数を月○時間削減、入力ミス件数ゼロ化kintone + AI-OCRプラグイン

AI枠の詳細と申請戦略についてはAI機能活用枠の解説記事をご参照ください。

補助金採択後の義務:年次報告と解約リスクへの対策

デジタル化・AI導入補助金でCRM・顧客管理ツールを導入した後も、補助金受給には継続的な義務が伴います。これを事前に把握しておかないと、採択後に思わぬトラブルが発生します。

  • 交付決定前の契約・開始は絶対禁止:補助金の交付決定通知が届く前にCRMの有料プランを契約・利用開始してしまうと、その経費が補助対象外となります。「まず試してみてから申請」という順番は危険です
  • 年次報告の提出義務(1〜3年間):補助事業完了後も1〜3年間は年次報告(効果報告)の提出が義務付けられています。CRMで管理している顧客数・商談件数・受注率などのKPIを定期的に記録・計測しておく必要があります
  • 早期解約は補助金返還の対象:補助金を受給したCRM・顧客管理ツールを補助事業完了後すぐに解約した場合、補助金の返還を求められる可能性があります。継続利用可能なコスト帯のツールを選ぶことが重要です
  • 補助金は後払い制:IT導入補助金・デジタル化・AI導入補助金はすべて後払いです。先に自己資金でCRM費用を支払い、後から補助金が振り込まれます。資金繰りに余裕がない場合は補助金つなぎ融資も検討してください

補助金視点でのCRM・顧客管理ツール選び方3つの基準

デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)を最大限活用してCRM・顧客管理ツールを選ぶ際、通常のツール選定とは異なる「補助金視点の3基準」があります。コスト・機能だけでなく、補助金申請のしやすさ・補助額・採択後の継続性を総合的に判断することが重要です。補助金・助成金の活用を前提とした上で自社に最適なCRMを選びましょう。

基準1:IT導入支援事業者の申請サポート力で選ぶ

デジタル化・AI導入補助金はIT導入支援事業者(ベンダー)を通じて申請します。CRMベンダーまたはその認定パートナーが補助金申請に精通しているかどうかが採択率を大きく左右します。特に中小企業の担当者が補助金申請の経験が少ない場合は、サポート力の高いベンダーを選ぶことが補助金採択の最重要ポイントとなります。

申請サポート力の高いCRMベンダーの特徴は以下の通りです。

  • IT導入支援事業者として直接登録済み(kintone/サイボウズ、Sansan等):別途パートナーを探す手間がなく、申請書類の準備から提出まで一貫サポートを受けられる
  • 補助金採択実績が多い認定パートナーを持つ(Salesforce・HubSpot等):パートナー企業の補助金申請実績・採択率を事前に確認する
  • 業種特化パートナーが存在する:自社業種での補助金申請ノウハウを持つパートナーは事業計画書の精度が高い

ベンダー選びの詳細についてはIT導入補助金ベンダー選び方ガイドをご覧ください。また、コンサルタント活用については補助金コンサルティング活用ガイドも参考にしてください。

基準2:自己負担額と継続コストを試算してから選ぶ

補助金申請を前提としたCRM・顧客管理ツール選定では、補助金受給後の「実質導入コスト」と「補助期間終了後の継続コスト」を事前に試算することが不可欠です。補助金期間(最大2年)が終わった後も継続して利用できる価格帯のツールを選ばないと、補助金終了と同時に解約するリスクがあります(解約すると補助金返還義務が生じる場合があります)。

CRMツール10名・2年間の自己負担(試算)補助期間後の月額(10名)継続性評価
kintone スタンダード約12.3万円(AI枠2/3想定)16,500円/月◎(低コスト・継続しやすい)
HubSpot Starter約7.2万円(5名・小規模2/3)9,000円/月(5名)◎(低コスト・継続しやすい)
Zoho CRM Professional約20万円(1/2想定)16,800円/月○(低コスト)
Salesforce Starter約36万円(1/2想定)30,000円/月△(コスト負担大)
SATORI約118万円(1/2想定)148,000円/月〜△(高額・中堅以上向け)

個人事業主・フリーランスの補助金活用については個人事業主のデジタル化・AI導入補助金解説もご参照ください。

基準3:AI機能の活用計画を先に描いてからCRMを選ぶ

2026年版のデジタル化・AI導入補助金ではAI機能の活用が採択率を左右します。CRM・顧客管理ツール選定においても「このツールでどのようにAIを活用するか」を先に設計し、その計画に合ったツールを選ぶというアプローチが補助金申請で有利です。

  • AI商談予測・スコアリングを重視する場合 → Salesforce Einstein・Zoho Zia(標準搭載で事業計画書に記載しやすい)
  • AI名刺認識でリスト構築を自動化する場合 → Sansan(名刺枚数に応じた費用、AI認識精度No.1)
  • AIコンテンツ生成・MA自動化を組み合わせたい場合 → HubSpot Professional以上(AIブログ生成・メールパーソナライゼーション)
  • ノーコードでAIプラグインを業務に組み込む場合 → kintone(AI-OCR・ChatGPT連携を柔軟に構成)
  • BtoBリード育成のAIスコアリング特化の場合 → SATORI(国産MAツール、AIスコアリング・行動分析)

AI機能の活用計画を事業計画書に落とし込む支援については補助金コンサルティング活用ガイドも合わせてご覧ください。

まとめ:CRM・顧客管理補助金の活用で顧客管理DXを低コストで実現

本記事の要点を整理します。CRM・顧客管理ツールはデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の対象であり、補助金・助成金を組み合わせることで大幅な導入コスト削減が実現できます。

  • CRM・顧客管理ツールはデジタル化・AI導入補助金の補助対象:補助率1/2〜2/3(小規模事業者は最大3/4)、上限350万円でCRM・顧客管理の導入コストを大幅削減できる
  • 補助金申請しやすさ1位はkintone:IT導入支援事業者(サイボウズ)登録済み、申請実績多数、ノーコードでAI連携可能、10名・2年間で自己負担約12.3万円
  • Salesforce EinsteinはAI枠で強力アピール可能:ただし高コストで自己負担が大きく、100名以上の中堅企業向け
  • HubSpot Starterは最も自己負担が少ない:5名・小規模事業者で自己負担7.2万円(月3,000円)、ただし無料プランは補助対象外
  • CRMは汎用プロセス分類に注意:名刺管理(Sansan等)・会計ソフト・業種特化ツールと組み合わせると採択率が向上する
  • AI機能を事業計画書で定量的に記載:「AI商談予測で受注率○%向上」「名刺入力工数月○時間削減」など具体的な数値目標が補助金採択のカギ
  • デジタル化・AI導入補助金と人材開発支援助成金の組み合わせ:CRM導入費用は補助金、CRM操作・活用研修費用は助成金でカバーする二段活用も有効

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「どのCRMが自社に合うか」「補助金申請を成功させるにはどうすればいいか」「事業計画書に何を書けばいいか」など、CRM・顧客管理ツールの補助金申請に関するご相談は当サイトの提携専門家(社労士・行政書士・中小企業診断士)が無料でサポートします。補助金・助成金を最大限活用してCRM導入コストを削減するために、まずはお気軽にご相談ください。

デジタル化・AI導入補助金全体の制度詳細は【2026年版】デジタル化・AI導入補助金 完全ガイド、kintoneの詳細申請解説はkintone補助金完全解説記事、個人事業主の申請方法は個人事業主のデジタル化・AI導入補助金解説、ベンダー選びはIT導入補助金ベンダー選び方ガイド、コンサルタント活用は補助金コンサルティング活用ガイドもあわせてご覧ください。